その表情に、迷いはない。
はっきりとした口調で言った。
『あなたのことだわ、解毒剤を持っているんでしょう』
白雪姫がそういうと、王子は驚いたように動きを止め、いまだに視線の揺るがない白雪姫を見て目を細めながら頷く。
『もちろん』
懐から、小さな小瓶を取り出すとそれを目の前で揺らした。中にはうす紫色の液体がゆらゆら揺れている。
小さく息を吐き、彼女は、言った。
『条件は、私ね』
『話が早くて助かるよ』
白雪姫が、いまだ自分をぼろぼろの体で守ろうとする剣士の後ろから、立ち上がり前へ。
『しらゆき、さま……っ』
もう白雪姫を引き留める力すら残っていない、剣士の腕から白雪姫の体温がなくなっていく。今にも泣きそうな顔で、剣士を振り返り、それでも自分の気持ちを押し込めて、無理やりに笑みを作る。
『ありがとう。……私のことを、守ってくれて。
けど、もう、十分助けてもらったわ。これ以上は、もう、受け取れない』
そっと、剣士の頬に触れ、白雪姫は涙を零しながら彼の額に口づけを落とした。



