佐藤くんは甘くない



その二人の目の前に、王子が立ちふさがる。


もうすでに体の限界を超えたであろう剣士は、苦痛に顔を歪め、それでも王子をにらみ続ける。そんな彼を、残念そうに眉を落として、ため息をついた後、


『そんな姿になってもなお、その子を守る気なのかい?』


理解に苦しむよ、とまたため息をついて、一歩、前に進む。


歯を食いしばり、剣を鞘から抜き取った剣士は近づいてくる王子に剣の矛先を向ける。


『きみも存外、我慢強いらしい。お前の中に入り込んだ毒は猛毒だよ。常人なら、切り付けられただけで即死するはずなのにね』


王子はその行為に、先ほどまでの張り付けたような笑みとは一転して、周りにいる者すべてを凍りつかせるような、威圧する無機質な表情で、言い放つ。


『これが最後の警告だ。彼女を渡せ、そうすれば命だけは助けてやる』


『悪いですが、その命令は……っ、聞けません。俺は、俺が守ると決めた人を、守ります』


その言葉を言い切った後だった。

剣士の体ががくんと力が抜け、なんとか剣で自分の体を支える。苦しそうに、乾ききった呼吸を繰り返し、がはっと小さく声を漏らし口から大量の血が地面に飛び散る。

もはや、彼女を守れる状況になんて、なかったのだ。


『……っ、』


白雪姫が、痙攣し始める剣士の服を小さく握りしめ、零れ落ちる涙をこらえるように唇を噛みしめた。


そして、顔をあげて、王子を見据える。