『待って!あなた、顔色が悪いわ……っ息の乱れも、』
『だい、じょうぶです……、早く、逃げないと』
そういって、白雪姫が剣士の頬に伸ばした手を振り払う。その腕を、白雪姫は凝視した。腕から手の先にかけて、ぽたぽたと赤い鮮血が地面に零れ落ちていたのだ。
『あなた、これ……っ』
『このくらい、大丈夫です、から……っ、はや、っく』
けがをした腕を隠すように、後ろに回そうとする。その傷は、一直線に肌を突き破っていた。おそらく、王子との闘争の際になってしまったのだろう。
そう、普通に考えて、これほどダメージを負うようなけがではないはずなのだ。もし、そんなことができるとしたら───
『……もしかして、王子の使っていた剣に、毒が』
『───ご名答』
後ろから、声がした。
その瞬間、剣士は白雪姫を守るように後ろへ隠す。けれど、すでに彼の全身を毒が犯していた。がくんと、片膝をついて、何とか剣を突き立て倒れるのを伏せぐ。
気づけば、白雪姫と剣士の周りを近衛隊が囲み、じりじりとその距離を縮めはじめていた。



