あれほど、強い光を宿していたはずの白雪姫の瞳の奥が、闇に沈んでいくように暗くなっていく。不気味なほどに白い王子の手のひらから体温どころか、精気すら吸い取られていくように。
『大丈夫ですよ、僕がずっとそばにいますから』
ゆっくりと、背中をなでられ、子供をあやすように彼は続ける。
『あなたはもう、ひとりではありません。僕があなたのそばにいてあげますから』
白雪姫は、もう抵抗すらしなかった。王子の言いなりになるように、ぐったりと体を預けていた。その光景は、すべてを諦めて、自分を諦めて、何もかも捨てようとしているように見えた。
その頬に、一筋の涙が零れ落ちる。
王子は、彼女の頭をなでながら、懐から何かを取り出す。それを、すっと白雪姫の首筋に這わせる。
彼女は、自分の首筋に何か注射のようなものを打ち込まれることも、わかっていた。ぷつり、と白い彼女のうなじに浅く針が突き刺さる。
これから自分は眠らされるのだろうか、こん睡させられ、この王子の言いなりになるのだろうか。そんなことを、思いながら、ぎゅっと目を閉じる。
そして、王子が彼女の肌に針をくいこませようとした、その時。
───キーン!!



