私はそっと息を吸い込み、すすり泣く声と、息をのむ緊張で膨れ上がった人たちへ語りかける。
『一方そのころ、〝白雪姫〟を探し続ける王子の耳に、ある情報が紛れ込んできました。ある森の近くで、彼女に似た人が目撃されているというものでした』
私の声とともに、舞台が一斉にライトの光で明るくなる。
舞台の真ん中で、高そうな椅子に腰を下ろし、何か書かれた紙を手にもつ王子。そしてそのわきを、近衛兵たちが跪いていた。
すべてを読み終えた王子は、くすりと目を細めておかしそうにほほ笑んだ。しかし、その瞳はナイフのように鋭い。
『なるほど、飛べる羽はすべてもいだつもりだったけれど、存外僕の思っているほど弱いお姫様でもなかった、ってことなのかな』
愉快そうにくくく、と笑いながら立ち上がる。そして、そばにいた近衛隊の一人に向かって、疑問を投げかける。
『まだ彼は帰ってきていないのかい?』
『はい。前回の捜索以来、姿を見たものはおりません』
『そうか、そうか』
また愉快そうに笑い、それから近衛隊を振り返り、楽しそうな声音で言った。
『今から、この場所へ向かう。準備をするよう伝達してくれ』
くるりと向き直った王子の顔は、嗜虐的な笑みが浮かんでいた。



