ふいに、後ろから慌てたような声が聞こえる。
すでに真っ暗になった舞台を照らすように、ぱっと声のする方にスポットライトが当てられた。そこには赤い帽子をかぶった小人が立っていた。
『探しましたよ、突然いなくなるからみんな心配しています!!』
『……お嬢様……?』
その声に反応したのか、剣士がじっとマントをかぶったまま固まる腹黒姫を見下ろした。そして、ふいをつくほど一瞬の間、剣士から離れようとした腹黒姫の腕を掴みあげて、引き寄せる。
『離してください!』
『いまこいつ、お嬢様と言ったな。お前、本当に放浪人か!』
決して逃げられないことを分かっていながら、それでも腹黒姫は身をよじり逃げようとする。その彼女のマントを引っ張る様に、掴み、彼は一気にはぎとった。
彼女の煌めく星の様な金色の髪が、ほろりと零れ落ちる。マントで隠れていた白い肌が、浮き出す。
観客席から、息を飲む声が聞こえてくるようだった。
剣士はなおも逃げようとする彼女を、引き留めようと力を込める。
『離して!離して!!』
『お前、姫様か!?』
『……っ!』
彼女は大きく瞳を揺らす。そして、その瞬間意を決したように剣士の懐に長剣とともに下げられていた短剣を引き抜く。会場中がどよめいた。



