つかず離れずの位置を保ちながら、2人が歩きはじめる。
『その服装からして、隣国の方とお見受けしますが、その婦人とはどのような関係で?』
『お前に話すことではない』
『申し訳ありません。少々出過ぎた口を』
『……構わない。お前、放浪人と言っていたが、まだ若い女がどうして放浪なんてしているんだ』
『幼いころ火事で両親を亡くし、その炎で私の顔にもその爪痕が残りました。村の人々は口々に私を呪われた子だと揶揄したのです。このような形で顔を隠すのも、そのため』
自嘲気味にくすりと腹黒姫は笑った。
こういえば、剣士が自分のマントをはぎとってまで顔を見ようとはしないと思ったのだろう。その策にまんまとはまった剣士は、そうかとだけ告げる声音は同情に満ちていた。
『私はただ自由を得るために、こうして旅をしております』
『自由、ね』
『剣士様は、自由をお求めですか?』
『いや、俺は王子に使えるためそのためだけに生きている身だ。王子を守る以外の道はないし、求めるつもりもない』
だんだんと照明が暗くなっていく。
赤く染まった光が、次第に夜の色に染まり始める。そして、森を抜けた先、小人たちの小さな家までたどり着いたその時。
『───お嬢様!』



