佐藤くんは甘くない



飽きれたような視線を受けることを察してか、こほんと小さく咳払いをした後おずおずと腹黒姫は元の席に座る。

『ともかく資金提供ならできるわ。一応経済に関する学問はいくつか修めているから頼りになることは保障するわよ』

『……なるほど、それは、』


『ただし!』


小人たちの小さな歓声を遮って、彼女は人差し指を立てた。

それがたった一つの頼みの綱であるように、ただただ必死に縋りつくように彼女は真剣な眼差しで彼らを見渡した。


『私を、ここに置いてほしい』



『……それは構いませんが、どうして?みたところあなたは育ちのいい御嬢さんに見える。僕らと一緒に住むよりもずっといい暮らしをしていたのでは?』


そう、彼女はきらびやかな衣装を身にまとい、白い肌は労働という言葉からはかけ離れた陶磁器のように穢れの知らず、傷一つない。

そんな彼女を疑問に思うのは当然なのだ。

腹黒姫は、その呼び名とはかけ離れた悪意のカケラも感じない、儚げな笑みを浮かべて言った。



『どれだけ豪華な食事が並ぼうと、どれだけきらびやかなドレスを選べようと、飢えよりも貧しさよりもはるかに辛いものが───あそこでは、待っているもの』