『も、申し訳ございませんっ!どうか、命だけは……っ』
『貴様に王子に捧げるだけの、価値があるとでも思っているのか?禊を何度しようとも、貴様の腐りきった欲望を払うことなどできはしない』
冷徹な声が、冷え切った瞳が、容赦のない剣の太刀が、見るものを魅了する。
舞台の明かりだけではよく見えないけれど、女子たちの瞳がぽおっと剣士を、佐藤くんを見ていることが分かった。王子ではなく、剣士にすぎない佐藤くんを。
そして、ゆっくりと剣が振り上げられ、ひゅんと風のかすめる音が聞こえるほどに鋭く振り下ろされた刃先は───
『───やめろ』
王子の声によって、制止される。
寸でのところで剣を止めた剣士は、王子を振り返る。
『……なぜですか、王子』
『そんなことをするのは時間の無駄だからだよ。それよりも、僕は一刻も早く姫様を見つけ出したいんだ。……大臣』
『……ひっ、は、はい』
剣に腰を抜かした大臣が、するずると尻餅をつきながら後退する。
『僕からも援軍を出しましょう。手持ちは心もとないが、この剣士の腕は確かです。いいね、きみも手伝ってくれ』
『……御意』
そうして、舞台が暗転していく。



