佐藤くんは甘くない


『あーもうどいつもこいつも腹立つんだから!』


そういって、近くにあった小石を蹴り上げる。それはすぐ近くにあった池にずどんと音を立てて沈んでいき───


『───ぐはっ』

『ん?』


小さな悲鳴とともに、ずるずる池からその声の主が上がっていく。

それが眩いスポットライトの光を浴びる。今日一番の笑いが巻き起こる。

そう、なぜなら───





『……ちょ、頭に斧刺さってるけど……』

『げほっ、あ、あなたが落としたのは』

『いや、アンタの頭の上に落ちたんでしょその斧』

『これはカチューシャです』

『真っ赤に染まってるけど!?』

『さ、がはっ……最近の、流行で、』

『流れに乗るどころか死に向かって爆走してるけど!?』


池の主は、と大きく吐血すると倒れ込む。

腹黒姫はあわてて駆け寄り、その池の主を抱き起して大きく体を揺すった。


『ちょ、アンタ待ちなさいよ。まだ登場して1分もたってないわよ!せめて何かアクション起こしてから死になさいよ!』

『かはっ……!も、もう俺はだめだ……最後に、一言……聞いてもらえないだろうか……』

『わ、分かったわ。死に際だもの。なんでも言って!』

『……ぇ、』

『え?』







『エアコン、消し忘れた……』