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「じゃあ、次のクラス、スタンバイお願いしまーす」
体育館、舞台上。
幕が下りた状態で、実行委員の係が小さな声で指示を飛ばす。
その声と同時に、舞台裏で準備をしていたクラスメイト達が一斉にセットを始める。
私は舞台裏のすぐ、袖幕の近くにナレーション用のマイクが設置された机の前に座って、ひたすらに台本を読み返していた。
幕の向こう側からざわつく声が聞こえる。うん、客入りは上々みたいだ。
「いけそうか?」
ふいにそう声を掛けられて、後ろを振り返ると恭ちゃんが立っていた。
「なる様になれ、って感じかな」
「適当にアドリブ入れてツッコんでもいいってさ」
「……ナレーションがツッコむ劇ってなんなの」
「それくらいツッコみどころ満載の劇なんだろうが。ボケを拾いきれるのお前くらいしかいねえもん」
「そりゃどーも」
褒められいるのか、貶されているのかよく分からない。たぶん両方だ。
舞台上に準備しに行った人たちが、戻ってきた。セットし終わったらしい。



