「セリフの言い回しも、棒読みで最悪だし!表情だって全然王子様っぽくなかったし!!ほんと、最悪でした!笑えるくらいっ!!」
「……」
「本当は全然っ、かっこよくなんてないです!!」
「ゆう、」
「あははははっ、あー佐藤くんは王子様よりお姫様の方が合ってるんじゃないですか?女の子みたいに、可愛いんだから」
私がそう言い放った瞬間、それまで黙って聞いていた佐藤くんがいきなり立ち上がった。がしゃんと激しい音を当てて、椅子が転がり落ちていく。
その音に、思わず視線がいく。視界の隅に、黒髪が揺れるのが映った。
ぐいっと、すぐに視線が引き戻される。視界いっぱいに、佐藤くんが映り込んだから。佐藤くんは、私の口を塞ぐように、手で覆い隠して、
「───いい加減、黙れ」
腹の底から怒りをぶちまけるような、低い声で、そういった。
「冗談でも、結城にはそんなこと言われたくない」
突き刺すような視線が、私を射抜く。
佐藤くんの黒い瞳に浮かぶのは、炎のように、苛烈な怒り。
「朝比奈さんにも、他の女子にだって、そう言われても我慢できるけど」
「……っ」
「───結城に言われるのだけは、我慢できない」



