佐藤くんは甘くない



「ねえ、結城」

「……」

「……どうしたの?」


反応のない私を心配してか、佐藤くんが振り返って私を見る。一瞬、目が合った。

何も考えることができなくて、私は露骨に逸らす。こんなみっともない顔、誰にも見られなくなんてなかった。

ぎゅっと、手に力が入る。

悲しみが全部飲み込まれて、怒りに変わっていく。


「……でした」


ああ、嫌だ。

こんな醜いところを、佐藤くんに見られたくないのに。


言葉が、止まらない。


「結城?」








「───最ッ悪でした!!」





私の叫び声が、鼓膜を震わせる。

伏せた顔を少しだけあげて、髪の隙間から見た佐藤くんの顔は───ただ、私の変わり様に目を見開いて驚いていた。