佐藤くんは甘くない



しばらくロード画面の後、『名前を入力してね!』と物凄いアニメ声が聞こえたかと思うと、名前を入力する画面にすり替わる。


「主人公の名前を入力するみたいですね」


「なんて入力するべき?」


佐藤くんが私に首をかしげながら聞いてくる。


「まあ、ここは自分の名前だと思いますが」


「さすがに自分の名前を入れて、プレイするのは抵抗あるんだけど」


「無条件でひまりちゃんに名前、呼んでもらえますよ。いいんですか?」


「うるさい黙れバカ」


「あてっ」


佐藤くんが床に置いていた説明書を投げつけてくる。私の中ではもう、この雛森くるみちゃんはひまりちゃんだった。


「瀬尾はどう思う?」


私が振り返ると、瀬尾がまだ落ち込んでいるのか体操座りのまま顔を上げる。


「……え、なに?」


「400時間プレイした瀬尾の意見を聞かせてよ」


「もうそのネタ引っ張るの止めよう、もうお嫁行けなくなる……」


お前は女か。