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全てを話終えた後、瀬尾はもうすぐ結城の母親が迎えに来るから一回保健室もどるよ、と言った。


その後ろを、何も言えないまま俺はついていく。


じっと見つめた、その大きな背中には計り知れない罪悪感と苦しさが伝わってくる。



結城と瀬尾の、あの何とも言えない違和感のある関係がようやく紐解けていく。けれど、後に残ったのはこのどうしようもない罪悪感だけ。


保健室のドアを開けようとしていた、瀬尾に俺は思わず声を掛けた。



「……一つ、聞いてもいい」


「……ん」


瀬尾が、保健室のドアに手を掛けたまま振り返らずに返事をした。瀬尾が振り返らない理由は、俺にもなんとなくわかった。



「───瀬尾は、結城が、好きなの」





ぴくり、と肩が小さく震えるのを俺は見逃さなかった。それは、ずっと聞きたくて聞けなかったこと。そして瀬尾が最も聞かれたくなかったことに、違いなかった。


瀬尾は、しばらく黙ったあとゆっくりと振り返った。








「───たとえ、好きだったとしても。

 俺に、それを言う資格は、ないよ」




瀬尾は、そういって今にも泣きそうなのにそれでも、笑っていた。