その時さ、俺は中学3年生だったから、初めて見たんだ。
大人があんなに泣き叫んでるのを見るの。
その姿を見たらさ、だんだん凍り付いていて何も考えられなかった頭に酸素が回っていくみたいに、いろんな光景が思い浮かんできた。
呆れるくらいに、思い浮かぶのはハルの笑顔だった。恭ちゃん、恭ちゃんって。それから、次に思い浮かぶのは血まみれで笑うあいつの顔。
何度も思ったよ。
なんで、俺なんか助けたんだって。
俺なんかより、お前のほうがずっと生きていてほしいのにって。
生まれて初めて、壊れるんじゃないかってほど泣き叫んだ。
このまま、もし結城に二度と会えなかったら。
このまま、もし結城の笑顔が二度と見れなくなったら。
そう思うだけで、気が狂いそうだった。手の震えが止まらかった。
長い長い時間の後に、ようやく手術室のランプが消えた。ぞろぞろ人が出てきて、結城の両親を呼んで何か一言告げるとおばさんとおじさんは泣き崩れた。
───結城は、一命を取り留めたんだ。



