その瞬間、俺の体が後ろに吹っ飛ばされた。後ろに引き寄せられた代わりに、誰かの体が俺とは逆方向に引っ張られていくのが見えた。
………………結城が、俺の体を引き寄せたせいで、あいつが車道に飛び出したんだ。
目の前で、あいつが車に轢かれた。
パアアアアアアアアって、ずっとずっとずっと車のクラクションが鳴り続けてた。でも、俺はなにも聞こえなかった。頭が真っ白になって、ただ茫然と情けなく尻餅ついたまま視線を上げた。
その時に、思ったんだ。
ああ、なんて馬鹿なことしたんだろうって。
雨のせいで、結城の赤い血が道路に滲みだしてた。じわじわ広がっていくんだ。クラクションの音で周りの民家の人たちがぞろぞろ家から出てきてた。誰かに話しかけられたけど、俺はそれを押しのけて結城のところに駆け寄った。
抱き上げたらさ、制服に結城の血が滲んでくるんだ。雨で冷たいはずなのに、すごくあったかくてさ。でも、その血が流れ込むたび結城の体が冷たくなっていくんだよ。
なんど揺すっても、なんど声を掛けても返事がないんだ。
ハル、ハル。
お願いだから、このままいなくならないで。
嫌だ、嫌だって。
何度も何度も叫んだ。



