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ザアアアアっと、雨の地面を突き刺すような音が響く。
静まり返った廊下で、瀬尾はぼうっとその光景を窓から見上げていた。場所を移そうと言われて、廊下を出た後瀬尾は一言も言葉を発さなかった。
とうとう言わないんじゃないかと疑い始めて、瀬尾の横顔をのぞき見た。
でも、そこにあったのはただ言うのを躊躇うかのように、気持ちを整理するみたいに押し黙る表情。
ただ俺は、瀬尾が口を開くのを待つしかなかった。
同じように、瀬尾と少し離れた場所で壁に寄りかかりながら窓の外を見上げる。雨はいっこうにやむ気配を見せない。むしろさっきよりも激しさを増しているような気さえした。
「……何から、話すべきかな」
ぽつり、と瀬尾が言った。
「全部」
俺が間髪入れずにそういうと、そっかと言いながら力なく笑う。ずっと窓の外を見上げていた瀬尾が、ようやく俺を振り返ってまっすぐに見つめてくる。
ここで視線を逸らしたらダメなような気がして、俺は負けじと瀬尾を見つめ返す。
先に折れたのは、瀬尾の方だった。
すっと俺から視線を外すと、小さく自嘲するような笑いを含んだ声で言った。
「───俺と結城は小さいころから、ずっと一緒だったんだ」
そして、瀬尾は語り始めた。



