……なんでなんだろう。
また、胸が苦しくなる。
瀬尾がそうやって、結城にしか見せない表情を浮かべるたび黒い靄が心を霞める。
二人だけの、俺には見えない境界線みたいなものを見せつけられた気がして。
「……んで」
口から、自分が思っている以上に低い声が出る。
それまで結城の頬に触れていた瀬尾が、ぴたりと手を止めて俺の方を見る。目が合った途端、なぜだか負けたような気がしてばっと顔を下に向けながらぎゅっと手のひらを握りしめた。
「なんで、結城はいきなり倒れたの。前に左肩に古傷があるって聞いたけど、それと関係あるの。雷雨の日だからって、どういうこと。瀬尾はそのこと知ってたんだろ、なら瀬尾も結城に何が起こったか知ってんの」
だんだん早口になっていく。
聞きたいことが山積みで、何からきけばいいのか分からない。
自分が情けなかった。
あれほど俺のことを考えて行動してくれたのに、俺は何一つ結城のことを知らないことが。
「っっあと、それから、」
───結城が言ってた、まだ好きでごめんって、どういうこと。



