「……結城に用があって、校門で待ってたんだけど。なかなか来ないから探しに行ったら、先生が地理準備室だって」
なるべく落ち着いた声を意識しながら、続ける。
「それで───結城が倒れてるの、発見して保健室に連れてきた」
「……」
瀬尾がしばらく俺の顔をじっと見て、何か言いたげに目を細める。出かかった言葉の続きは、結局聞くことはできなかった。
ようやく落ち着いてきた呼吸を整えながら、瀬尾が一目散に結城のところへ駆けつける。そして、しばらく結城の寝顔を眺めた後、疲れ切った顔で小さくため息をついた。
それは疲れのあまり、というよりも安堵して出たため息のようなもので。
すぐに、顔を顰めながら額に手を押し当てて、唇を噛みしめる。まるで、自分を責めるみたいに。
「……瀬尾は?」
「……え?」
瀬尾が振り返る。
「瀬尾は、どうして来たの」
いつもおちゃらけた表情で、軽口ばかり叩く瀬尾からは想像もできないほど険しい表情を浮かべて、何か言葉を選ぶように視線を斜め下に下げる。
「───雷雨になってたのに、結城が帰って来なかったから」
そういいながら、瀬尾がもう一度視線を結城に向ける。そっと、壊れ物を扱うみたいに優しく結城の頬に触れる。くすぐったそうに結城が吐息を漏らした。
それを優しげな瞳で見つめて、
「…………よかった」
小さく、呟いた。



