***
「もう、これでしばらくは大丈夫かな」
はあ、とため息をついて腰に手を当てると、先生はちらりと俺の方を見て困ったように小さく笑った。
「何やってるの、そんな顔しない」
「……」
一体、どんな顔をしていたんだろう。
頬に触れてみるけれど、いつもよりも頬の筋肉がひきつっているのがわかった。鏡では見てないけど、きっと酷い表情をしていたに違いなかった。
「しばらく寝てれば大丈夫だから、君も帰りな。この子の家には私から連絡しとくからさ」
「……いえ」
小さく首を振った。
視線の先に、静かに寝息を立てて眠る結城の姿があった。泣いていたのか、それとも泣き続けていたのか彼女の頬には涙の痕が残っていた。
このまま、帰るにはあまりに俺は知りすぎてしまった。
ぎゅっと、拳を握りめて黙っていると、諦めたのか小さくため息をついて、
「じゃあ、結城さん任せたわね」
そういって、保健の先生はカーテンを閉め切って、行ってしまった。



