そのまま、一歩一歩と踏み出していく。
触れる背中の体温が、温かくてあんなに怖くて、不安でしょうがなかったのにだんだん肩に力が抜けていく。
廊下を歩くうち、劈くのように鳴り響いていた耳鳴りも、突き刺すような雨の音も、雷の轟音も聞こえなくなっていく。
そっと、恭ちゃんに体を寄せる。そこにあったのは夏祭りの時と、同じ体温。
どうして、こんなにも安心するんだろう。
頼っちゃいけないって、ダメなんだって分かってるのに。
本当に、私って馬鹿だ。
私は、最後の力を振り絞って彼の耳元で、途切れ途切れに呟いた。
「……ご、めんね」
「……」
「ご、めん。……きょう、ちゃん」
なぜだか、涙があふれてきそうになった。もうとっくの昔に、人生でもうこれ以上泣くこともないだろうって思うほど泣いたはずなのに、それでも視界が滲んだ。
「───まだ、恭ちゃんのこと……好きなままで、……ごめん、ね」
最低で、ごめんね。



