佐藤くんは甘くない



ああ、馬鹿だ私。


もう、助けてもらわないって決めたのに。

もう、何も奪わせないって決めたのに。



どうして、こういう時に浮かぶのは、あいつの顔なんだろう。



どうして、私は何時まで経っても、あいつに助けを求めてしまうんだろう。




「───ん」


霞む視界の中で、私の手が虚空を掴む。


本当に、馬鹿だな私は。

もっと私が強かったら、こんなことにはならなかったのに。あんなに傷つけることも、奪わせることもなかったのに。


ぽつり、と声が漏れる。


来るわけない。
来っこない。


だから、せめて。

せめて、一人でいるときはいいよね。



頼れないきみに、頼ってもいいよね。