佐藤くんは甘くない



***


ぽっち、っとゲーム機のコントローラの〇ボタンを押す。


『せぇーのっっ!!


 学園恋愛シュミレーションゲーム、ラブ♡パッション!


 べ、別にあんたのことなんて全然好きなんかじゃないんだからね!!はっじまるよぉ~!!』



きゃぴきゃぴの何人ものアニメ声の掛け声とともに、『らっぶらぶらぶあなたにらぶ~』と聞くだけで恥ずかしいOPが流れ始める。



うわあ。

……うわあ。


「分かってんだよ、うわあって顔で二人とも俺の方振り向くなよ!!」


振り返った先で、ベットの布団にくるまりながら、絶望している瀬尾が歯を向く。

少し離れた隣を見ると、佐藤くんもおそらく私と同じようにうわあっと言いたげな顔をしていた。