佐藤くんは甘くない



***


「なんかお前顔赤くないか」


「そっ、そんなことないですよ」



あの後。

私は、いそいそと佐藤くんと二人教室を後にした。そして2年4組の教室に戻ってサイズを測ったメモをその辺にいた女子に渡して、私は佐藤くんから離れるように廊下を爆走。


教室にいる佐藤くんたちが帰るまで待った後、教室に戻った。

そして、鞄を持って───補佐役申請の紙を担当の吉原先生へ渡しに行ったのだった。


「ふうん?
 
 んーじゃあ、これでいいよ」



ぴんと、吉原先生がその紙をはじいた。

先生に何かつつかれたら、思わず何か言ってしまいそうで私はただ何度も頷くだけ。


「じゃ、じゃあ私はこれで」


そうまくしたてて、職員室のドアへ向かおうとしたその時。




「───あ、待て結城」


「……はい?」


呼び止められて、私は足を止めた。何だろう。

何か聞かれるんじゃないかと過剰にびくびくしながら振り返ると、先生がにっこり笑みを浮かべながらブイピースしていた。そのピースをなぜか私の後ろの机を指す。

は?




「そこにある資料、悪いけど地理準備室まで運んどいて」





……さっさと帰ればよかった。

だなんて、後悔してももう遅かったけれど。