佐藤くんは甘くない




佐藤くんの言っている意味がよくわからない。


さっきの出来事がすうっと、遠のいていく。ただ目の前に座る佐藤くんが、顔真っ赤にしたままちらりと私の方を見ると、小さくため息をついた。


「……結城が悪いんだ」

「は?あ、さっきはすいませんです!後ろの音にびっくりして、」

「違う」


佐藤くんの声が教室に響く。

それは、気付かない私に少しだけ怒っているような含みの声だった。それなら、一体佐藤くんは私に対して何で怒ってるんだろう。


……だめだ、さっきの転んだときのことしか思い浮かばない。



「……結城が、」



私が?





「いきなり変なこと、聞くから」


「……」




「……変に意識させないで」