佐藤くんは甘くない



そっと、腕を回す。


佐藤くんの背中に手を回そうと思ったら、ぐっと佐藤くんの制服と距離が近づく。柑橘系の優しいシャンプーの匂いがして、一気に体温があがる。


すぐそこに佐藤くんの胸がある、って考えてしまう私は絶対変態だ。ばか、測るだけなんだから、そういうコト考えるな。


左手に持ったメジャーを、佐藤くんの後ろで右の手のひらで持って、ゆっくり通していく。そして、脇の下まで通してようやく佐藤くんとの距離が離れていく。ほっと肩の力を抜こうとした、その時。




───ばん!




「え、わっ……!」


いきなり、後ろの方から何かがぶつかる音がして今まさに力を抜こうとしていた肩がびくっと震える。

思わずばっと後ろに下がろうとして、一気に私の視界がぶれるのがわかった。あまりに勢いよく離れようとして、バランスを崩してしまったらしい。


後ろに倒れればよかったのに、私の体はさっき離れたはずの佐藤くんの体に引き寄せられていく。








───どん!!


耳元で、身体が床にたたきつけられる音が響いた。