佐藤くんは甘くない




「馬鹿なこと聞いてないで、さっさと測ってよ」


ふっと降りてきた疑問のせいで、いつの間にか手が止まっていたらしい。


佐藤くんの声で私は、慌ててメジャーを広げた。ええと、あとは胴回りで終わりかな。


「んじゃ、胴回り測りますね」

「ん」


佐藤くんが小さく頷く。

よし、えーっと。…………ん?



私、この場合どういう態勢で佐藤くんの後ろまでメジャー通せばいいんだ?


ぼうっと、佐藤くんを見上げる。何時までも測らないノロマな私を待ちくたびれたような顔で、何と冷たく聞き返してきた。

えーっと、この場合私がメジャーを通すには……。そこまで考えて、止めておいた。これ以上考えたら恥ずかしすぎて、死にそうだったから。

私は無心になって、佐藤くんに言う。


「えっと、佐藤くんちょっと手、あげてください」

「は?」

「あと、あんまり下見ないでくださいッス」


きょとん、とした顔で佐藤くんが言われるがまま少しだけ腕を開けて、わきの間に隙間を作る。そして、少しだけ顎を逸らせる。


「えっと……し、失礼します」


ぐっと、佐藤くんに距離を近づけて、彼の脇の下に腕を通そうとした、その時。








「───待って」