佐藤くんは甘くない




私は佐藤くんに指示されて、後ろに立つ。

そして肩幅を測る様に言われ、メジャーを肩に押し当てる。測ったセンチをメモって、今度は肩から手の先に掛けて測り始める。


「そーいえば、思ったんですけど……佐藤くん、まだ女の子と話すの怖いんですか」


何気ない口調で、そう聞くと、佐藤くんが少しだけ黙った後、


「……怖いって言うか、なんか緊張する。ああやって、団体で来られるとどうしていいか分かんない」


さっきのことを思い出したのか、少しだけ苦い顔で言った。


「なるほど。でも、佐藤くん案外ひまりちゃんとも話せるようになってきたみたいじゃないッスか。進歩ですね」


「……でも、やっぱり、朝比奈さんの前だとどうしても緊張して、話せない」


「怖くて?」


私がそう聞くと、佐藤くんは小さく首を振った。


言葉が見つからないのか、それとも言うのが恥ずかしいのか、佐藤くんはちらりと私の顔を振り返って窺ったかと思うと、目が合った瞬間ぱっと逸らされてしまった。


そして、



「……心臓がうるさくて、破裂しそう」


と、とても小さな声で言った。