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「意気地なし」
「……うるさい」
薄手のカーディガンを脱いで、袖をまくっていた佐藤くんが気恥ずかしそうに唇を尖らせながら小さく反抗する。
ここは、LT教室。
始業式だけだったせいか、周りの喧騒もなくただ静かに木々が揺れる音だけが教室に響く。
あの後、悔しそうな顔をする女子たちにメジャーを渡された私は、教室で台本の打ち合わせをするから邪魔だと瀬尾に言われ、泣く泣く教室を後にした。
私はその辺に空いていた椅子に腰を下ろして、頬杖をつきながら言う。
「あの状況で言いますか、あれ」
「……うるさいな。しょうがない、じゃん」
もう言わないで、と佐藤くんが眉を下げて、さっきの声からは想像できないほど弱気な声で言った。
そんな佐藤くんが可愛くって、小さく笑ってしまう。
佐藤くんは意外に、打たれ弱い。
私たちにはばしばし悪口も毒舌も吐く癖に、いざとなったら弱気になる。



