「お前、このままだと反省文書かされっぞ。宿題上乗せで」

「ひいっ、それだけはマジでご勘弁願いたいです」


ただでさえ数学苦手なのにっ。

反省文だって絶対気の遠くなるような作業になるはずだ。考えただけで頭が重くなる。


先生は、はあと小さくため息をつくとしばらく私の顔を見て、何かを考え付いたようにあ、と声を漏らした。


「お前、10枚も反省文書きたくないか」

「はい!」

「宿題なんてクソくらえか」

「はい!」

「文化祭の実行委員補佐やりたいか」

「はい!……って、は?」


この流れで、よし、もうわかった。お前の誠意は伝わった。今回の件は不問にする、的な雰囲気と穏やかな表情だった先生のせいでだんだんテンションあがってリズミカルに返事をした私。


思わず元気良く挙げた手を、ゆっくり下げていく。

それと同時に、してやったりな顔でにんまり口元を釣り上げていく先生。



……あれ?

なんだろう、すごく嫌な予感がする。



「そうかそうか。結城はぜひとも実行委員の補佐をやりたいんだな」

「は?え?」

「いやーしょうがない、先生としてもやぶさかではなかったが、そこまで結城が言うなら仕方ないな。そんなにやりたかったのか、言ってくれれば俺はすぐにお前を推薦したぞ」

「……は?」

先生は、置いてけぼりになる私のことなどお構いなしに、いやーそうかそうか確かにお前補佐好きそうな顔してるもんな、補佐顔だもんなと続けながら机の中をごそごそ探る。ふざけんな誰が補佐顔だ。