佐藤くんは甘くない


俺が。

何を、どうって。



……そんなこと、言ったっけ。

思い出すと、頭がぼんやりしていて、よく思い出せない。というか思い出させたくない俺の本能が強制的にシャットアウトしてくる。


でも、あれ。


……言った?言ったかも。言ったよね、俺。

本当にいろんなものが俺からぶっ飛ぶ数秒前に、朝比奈さんが根を上げた。絞り出すような声で、


「と、というかだねっ、あのだねっこの体勢……!」

「……っっ、ご、ごめ、」

「い、いや別によござんす……!」


真っ赤になった、朝比奈さんはあわてて俺から離れるとしきりに前髪を払っては、咳払いをしたり視線を泳がせる。



生憎、俺も俺で、何を言っていいのか分からなくて。

不思議な口調になっている朝比奈さんに気付かないくらい、焦っていた。


熱くなる首に手を当てる。やば、どうしよう。頭混乱して何を言えば。