わたあめ。
……わたあめかよ。
絶対、朝比奈さんの口から俺の心がフルボッコにされるような無邪気で残酷な一言が下ると思ったのに。
物凄い拍子抜けだった。
「……じゃあ、今から買いに行く?」
「いいの?」
「せっかくのお祭りだし」
「ありがとう!」
朝比奈さんの後ろにぱあっと花が咲いたみたいに、幸せそうに笑みを浮かべる。
そんな顔されたら、断るに断れないじゃん。
「じゃあ行きましょうか、同胞!!」
そういいながら、朝比奈さんは気分よく、鼻歌を口ずさんで大きく巾着を振り上げながら一歩前進した、その時。
───ドンと、音がした。
気付いたときには、朝比奈さんの体が一気に傾く。あ、いきなり進むから横から来た人と足が絡まったんだと、場違いに思う。
そして、そう思った時にはもう、手が出ていた。



