誰にも、流されない。
誰にも、染まらない。
結城は、そういう人だと思う。
自分のことなんてお構いなしで、誰かを助けようとする、馬鹿で優しい奴だと思う。
「俺も、そう思う」
ぽろりと、自然に口からこぼれる。
言ってから、自分が何を言ったのかに気付く。なに、を言ってんの俺。じわじわ熱くなっていく頬を、押さえながら顔を上げると───
「───じゃあ、私たち〝おんなじ〟だね」
俺はずっと、朝比奈さんのことを無垢でどこまでも優しい、太陽に光を浴びながら咲くひまわりの様な人だと思っていた。
でもその表情は───ひっそりと月に浮かぶ朧げな明かりに向かって咲く、夜顔のように、儚い笑みだった。
また一つ、知った。
こんな表情を、するんだって。



