佐藤くんは甘くない



***


「これ、絆創膏と消毒液。怪我したとこ、大丈夫?」


「ごめんね、面目ないです……。わざわざ買ってきてくれて……」


しゅんと、肩を下げながらベンチに腰を下ろす朝比奈さん。なんとなくその表情が、いつもの朝比奈さんからは想像できなくて、小さく笑ってしまう。


それに気づいたのか、


「笑うのはひどくないかな、佐藤くん」


むすっと口を尖らせながら、朝比奈さんが恥ずかしそうに言う。

あの時、いきなりこけた朝比奈さんが、すくっと起き上がって「と、まあ私が張り切るとこんな感じになります!」とどうにか恥ずかしさを誤魔化して、笑いを取りに行こうと涙目で抗議したことを思い出す。


やば、今思い出しただけでも笑えてくる。


「……だって、……くく、すごい張り切ってたのに……っ、」

「わーっ、もうそのこと言うのやめて……!なしってことで!」

「……う、ん。わ、忘れる……から。たぶん」

「きっとだよっ?」

「善処します」

「こはるちゃんとか、瀬尾くんに言ったら絶対怒るからね。佐藤くんと私の秘密、だから……っ」