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……困った。
当たりを見回す。
太鼓をたたくはっぴを着た人や、屋台の料理を手にした人、走り回る子供たち───お祭り会場は思いのほかごった返していた。
小さくため息をついて、振り返ると華やかな音から少し離れた木陰で、スマホを耳に当てる朝比奈さんが俺に首を振る。
「回線混んでて、電話かからないみたい」
「……そっか」
「あっちもたぶん二人だよね?大丈夫かな、こはるちゃんと瀬尾くん……」
憂うように、唇に手を当てながら思案顔をする朝比奈さん。
こんな状況で、朝比奈さんの不安を解消するような言葉一つ言えない自分が惜しい。
というか、そんな余裕が、ない。
俺の方が、大丈夫なの?
これ。
すっと、上を見上げる。
開けた視界の向こうでは、点々と星々が夜空を照らしていた。
そして、視線を下げる。朝比奈さんがにこりと笑いながら首をかしげる。急激に心拍数が上がって、思わず顔を逸らした。
……本当に、大丈夫かな俺。



