むすっと、佐藤くんが口を結んでそういう。
……あ。
あ、あ。
……それは。
「っさ、」
さすがに、それは。
佐藤くんが、恥ずかしいくせに私から視線を逸らさないから。
佐藤くんが、卑怯なくらい私に直球なことをしてくるから。
「さ、さて、みんなこれからどこ回りましょうスかね」
私は、どう反応していいのか分からなくなるじゃないか。
結局、私は佐藤くんの言葉にイエスもノーも何も言えずに、前で私たちを見ていた瀬尾たちに声を掛ける。
瀬尾ははっとしたように、
「あ、そうだなぁ、とりあえず朝比奈が回りたいって言ってた……」
「おっ、それがいいねぇひまりちゃんはわたあめがいいって言ってたよねぇ。私もわたあめ久しぶりに食べたいっすね」
「確かに何年振りだろうな、まともに食べるの」
そういいながらさりげなく、私の隣にやってくる。そして、この邪念を振り払うみたいに私はくだらないことを早口でまくし立てて、だんだん足も速くなっていく。
そして、
「ね、ひまりちゃん」
そういいながら、振り返ったとき。
「あ、れ?」
ひまりちゃんの姿が───そして、佐藤くんの姿が、そこにはなかったのだ。



