「こんばんはー?」


どうして、佐藤くんが顔を真っ赤にさせて俯いているのか気づいていない、鈍感なひまりちゃんは首をかしげながら挨拶し返した。


「お待たせしてごめんね」

「……別に、全然待ってないから大丈夫」

「こはるちゃんと浴衣選んで買ったんだよー、それでこはるちゃんのお母さんに着付けしてもらったんだけど手際がすごく早くて、ひゅひゅひゅーんって感じで」

「そう、なんだ」


佐藤くんの声が尻すぼみになっていく。

ったく、佐藤くんは。

まあ、相槌が打てるようになっただけ成長したと言えるだろうけれど。


もうそろそろ、佐藤くんのボルテージが振りきれそうかなと思う直前、私はひまりちゃんの肩を叩いて、助け船を出す。


「ひまりちゃんひまりちゃん、屋台混んじゃうから行かないと」

「あ、そっか。わたあめ食べないとだもんね!」


ひまりちゃんが話を止めて、きらきら目を光らせながらずんずん歩きはじめる。……高校生でわたあめ好きってひまりちゃんらしいなぁ。