しばらく他愛もない話に、花を咲かせていると、お祭り会場の、神社の少し手前、公園の噴水前で佐藤くんを発見した。


……うわあ。

夕方過ぎの暗がりでも分かるくらい、佐藤くんの顔に眉間が寄っていた。


苛立っているのか、しきりに組んだ腕を指でとんとんと弾いていた。今なら人が殺せそうなオーラを身に纏っていると言っても過言じゃない。

……さて、どう話しかけよう。

なんて、悩んでいるうちに、


「おーい、佐藤くーん」


隣で、満点の笑みを浮かべたひまりちゃんが手を振りながら佐藤くんのもとに近付いていく。


ひまりちゃん勇者か!?

というよりも、あの不機嫌に気づいてない!?


慌てて、ひまりちゃんを止めようと後ろから走ってひまりちゃんを追いかける。


佐藤くんは、知らない誰かに声を掛けられたとでも思ったのか、物凄い般若顔でぎっとひまりちゃんと私の方を睨みつけた後───いきなり、表情が消えた。


そして、慌ただしく視線をきょろきょろさせて、


「……こ、こんばんは」


と小さく会釈した。


……ちょ。

佐藤くん、それは分かりやすすぎる。