「───」

熱い。

顔が、沸騰しそうなくらい。


あの時、かすかに触れた佐藤くんの唇と声が思い出すたびに、耳を押さえて言葉にできないこの気持ちをどこかにぶつけてしまいたかった。


「……そういうのは、私に、じゃなくって」


ひまりちゃんに、言えよなばか。

佐藤くんのばか。

本当、私じゃなかったら、勘違いするところなんだから。

本当に、佐藤くんは恐ろしい。


「んで、その占いがさー……って聞いてんの、結城」


ふいに肩を叩かれた。

私ははっと我に返って、反射的に顔を上げる。すぐそこに、首をかしげながら私の顔を覗き込む瀬尾の姿があった。

思わず、仰け反る。


「な、なにっ」


本当に、佐藤くんは恐ろしい。


「いや、なんか。お前」

「は?」


だって、そうじゃないって言い聞かせてる私だって。



「すっごい、ヘンテコな顔してるけど大丈夫?」



私だって、少し勘違いしてしまったんだから。