佐藤くんは甘くない



握っていた手のひらの力が弱くなり、離れると私はまだ痛みでじんじんする人差し指を押さえながら、

「だって、佐藤くんのために作戦を立てるんですから、そもそも誘うべきは佐藤くんじゃないッスか」

「……まあ、そこは分かるけど」


私がそういうと、佐藤くんは口をもごもごさせる。


確かに、佐藤くんは奥手だし、女嫌いだって完全に治った訳じゃない。

ましてや、佐藤くんの好きな相手はあの、ひまりちゃんなのだ。押してダメなら引いてみろ、みたいな効かない。むしろ押しても気づかないのがひまりちゃんだから。

佐藤くんは諦めたように、ため息をついた後顔を上げた。


「……分かった。いいよ、やる。

 でもどうやって誘うの?」


そう。

難関は、そこなのだ。

佐藤くんは、ひまりちゃんを目の前にすると極端に、消極的になる。ふっふっふ、私は考えました。ええ、考えましたとも。

ばっと、スカートのポケットの中に手を突っ込んで、私は、それを高らかに掲げた。


「ピシュコアー!テッテレテッテッテー!テテー!!


 スマートフォンンンンンンンンン!!!」



かくして。

私たちの〝ひまりちゃんを夏祭りに誘おう計画〟の長い長い始まりだった。