取っ組み合いを始める馬鹿な二人を無視して、私は近くから椅子を持って、瀬尾達のところへ。


瀬尾は、はあ、はあ、はあ、とこれ見よがしにため息をついた。

そして、頬に手を当ててどこぞのマダムみたいにアヒル口で言う。


「ったく那月ちゃんってば何時からそんなひねくれちゃったの?小さいころはあんなに可愛かったのに」

「俺の幼少期なんて知らないくせに、キモいから止めて。吐きそう。

 止めて、さっさとラジオ体操しながら頭に黒板消し乗せて廊下を全力疾走して自販機でお茶買ってきて」


「なんだよそのシュールな光景」


「そうだよ瀬尾、ほらさっさと行ってきなよ負けたんでしょ」


「優柔不断な奴はモテないって言うし」


「そういいながらスマホで動画撮ろうとしてるあんた等、ほんといい性格してるよな!」


「瀬尾に褒められたッス、佐藤くん!」


「俺、割とよく言われる。いい性格してるねって」


「……褒めてねーよ。……つーか、さっきの夏祭りの話は?」