「かえる、って」
「4人で帰りましょうかって意味ですけど」
「む、無理っ!」
全力で顔を横に振る佐藤くん。
こんなところでヘッドバンキングしなくても……、学校にそんなパンクな演奏家はいないっすよ。
「でも話すキッカケを作るチャンスですよ」
「だ、だっていきなり話せとか言われたって無理だって。
っていうか、いきなり話したことないようなクラスメイトと一緒に帰るなんて、朝比奈さんだって戸惑うしっ。
もしかしたら、気持ち、ばれるかもだしっ」
「いつから、ひまりちゃんがそんな気持ちに気付くほど勘が鋭いと思った!?」
「で、でも。無理っ、無理無理。朝比奈さんにどんな顔で逢えばいいかとか、話せばいいとか絶対、真っ白になる……っ」
「その可愛いお顔で逢えば大丈夫ですよ。
それに、ひまりちゃんはサンタの中の人が、生前子供にプレゼントを渡せなかった福沢諭吉だという冗談を真に受けるような子ですから!」
「それはさっさと誤解解けよ」



