佐藤くんは甘くない



そして、彼女に書き溜めた手紙を渡しました。


出来れば、那月が20歳になる時まで、私がもうここにはいないことを公言しないことを、約束して。


これが、ことの顛末です。


そして、私のすべてです。



ねえ、那月。

あなたはきっと、嘘だと怒るかもしれない。



でもね。

私は、あなたと離れてから───一日も、那月のことを、思い出さない日はなかった。



あなたがあの日、ごめんなさいと私に謝ったあの時。

どうして、私は、あなたの頭を撫でながら、那月は悪くないと、お母さんがずっといるよって言ってあげられなかったんだろう。


どうして、あの時、あなたの手を離してしまったんだろう。


ごめんね。


もっと、お母さんが強かったら。

そうしたら、那月を傷つけずにいられたのに。ごめんね、ごめんね。ごめんね、那月。