佐藤くんは甘くない




那月に謝らなければならないこと、いくつもあります。


一つは、あなたを置いて行ってしまったこと。


あの日、お医者様を呼びに行った私は、玄関の前で人だかりができているのを見て───何もかもが抜けていってしまったみたいだった。


それ以上に、深く傷を負ったあなたを、私は母としてそばにいてあげるべきだったのに。


ごめんね。

未熟なお母さんで、ごめんね。


お母さんね、どうしたらいいのか、分からなかったの。


あなたとの接し方も、柚月を失った悲しみも。どこにも、やり場がなくて私はただただ泣くばかりで、守るべきだったあなたまでも、守れなかった。


今更、こんな言葉を言うことが、白々しいことも、虫のいい話だと分かっています。


でも、どうか言わせて。



那月のせいじゃない。

柚月が倒れたこと、そして亡くなったこと。



那月は、何も悪くない。