それは、いろんな雑音をかき消して、はっきりと聞こえた。
「待ってください」
もう一度、声を張り上げる。
重ねたてのひらが、強く、強く、握りしめる。強く、語りかける。
───目を逸らすな。そう、言っている気がした。
「少しだけ、私の話を聞いて頂けないでしょうか」
「キミの?」
「はい」
結城が、真剣な眼差しで頷く。そして、情けなく顔を上げた俺に小さく微笑んだあと、手元から何かを取り出す。それを綺麗に机の上に並べた。それは……。
「これは……?」
訝しげに、眉を寄せながら問う新谷さんに、結城はなおも自分の意思を誇示するようなはっきりとした口調で、
「早苗さんが、佐藤くんの家を出て行った時から、佐藤くんの誕生日に贈られてくるそうです」
そう、それは。
俺が、昨日渡した白い便箋───お母さんからの、手紙だった。



