そして、それは突然切り出された。
朝食を食べ終えて、片づけをした後───三人で今の隅に置かれたテレビを見ていた時。
おばあちゃんが淹れてくれたお茶をひと口飲んで、結城が、
「一つだけ聞いてもいいでしょうか」
そう、切り出した。
おばあちゃんは、一瞬目を見開いたけれどすぐにいつもの凛とした表情に戻る。そして、テレビに向いていた体を結城に向けた。
「なにかしら」
微笑を口に浮かべる。
その笑みから、おばあちゃんはもう、何を聞かれるかは想像がついているように見えた。
「───佐藤くんのお母さん、早苗さんについてです」
「……」
「早苗さんの最期を看取ったのは、おばあさんですか」
それは、あまりに直球だった。
お母さんの最期。その言葉が、結城の口から出るなんて想像もしてなかった。ぎゅうっと、胸が焼きつくような痛みが襲う。
お母さんの生涯は一体どう、終わったのか。想像しただけで、涙が出てきそうだった。後悔と、罪悪感だけが残留したままで。
結城の問いに、おばあちゃんは、ふっと寂しそうに笑った。
「───私では、ないわ」
「……じゃあ、誰ですか」
声を潜めて、聞く声が遠くの方で聞こえた。