佐藤くんは甘くない



「ご、ごめんなさい」


「ぁ、あ……別に」


うわ。

馬鹿、結城が赤くなるから。……俺まで、調子狂う。


慌てて、手を離して───それから二人して背を向ける。心臓が、うるさい。落ち着け、落ち着け、落ち着け。ああ、もう。なんでこういう時言うこと聞いてくれないんだ。


微妙な雰囲気の中、それを破ったのは───





「───おはよ、お二人さん」




割烹着姿で、ニヤニヤしながら襖から顔をのぞかせる、おばあちゃんだった。


「朝からお熱いことね」


「っっ、おばあちゃん!!」


「あらあら、照れなくてもいいのに。朝ごはんができたから呼びに来たけれど、やっぱりお邪魔だった?」



くすくすと笑いながら、そういう。俺がもう一度おばあちゃんと、睨みつけようとするとあっさりと引き下がってしまった。

開け切った襖から、眩しいくらいの太陽の光がこぼれだす。


ムカつくくらいの晴天。



6月、28日───俺の誕生日だった。