佐藤くんは甘くない



罰だったんだ。

柚月を殺して、それでもお母さんに逢いたいだなんて思ったから。


だから、天罰が下ったんだ。

都合のいいように、全部から逃げ出したから───だから、もう、お母さんに逢えない。


ぽた、ぽた、頬から流れ落ちるそれは、薄暗い部屋の中でも分かるほど、大きく畳に真っ黒な斑点を作っていく。


まるで自分が世界から切り離されてしまったみたいだった。一人だった。初めから、ずっと一人だった。


誰も、俺の周りにはいなかったんだ。


誰も。

誰もかれもが、見限って置いて行ってしまった───なら、残された俺はどうすればいいんだろう。どうしたら、許してもらえるんだろう。


ぎゅうっと、手を握りしめた───その時。





「……佐藤、くん?」



襖が、数センチ開いた。薄暗い部屋に、道しるべみたいにすうっと光が差し伸べられられる。



ゆっくり顔を上げると───そこには、結城が呆然と立ち尽くしていた。