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幼いころ、お母さんはよく頭を撫でてくれた。
例えば、友達と喧嘩してしまった時。
例えば、思い通りにいかなかった時。
そんな時、お母さんは、わんわん泣く自分の頭を優しく、壊れ物を扱うように優しく撫でてくれた。
大丈夫、大丈夫よ。
那月、嫌なものはすべて涙に変わっていくの。
だから、枯れるほど泣いて、泣いて、そうしたらきっと那月に幸せが訪れる。
だから、大丈夫よ。
そういって、涙が枯れるまでお母さんはそばにいてくれた。
それが、当たり前だと思っていた。
お母さんが俺を置いて行ったとしても、いつか再会したその時に。
何度も、何度も、泣き叫んでごめんなさいっていつか謝るんだって。
約束を守れなくて、ごめんなさい。
柚月を、守れなくて、ごめんなさい。



